【青木宣篤流フィジカルトレーニング:01】このオフシーズン中に走れる身体を作ろう!【ファイヤーハイドラント/スライディングサイドランジ/etc】
PHOTO/H.ORIHARA TEXT/G.TAKAHASHI
取材協力/ソネットフィットネス http://sonnette.biz/fitness/
あなたはバイクに乗せられているのだろうか?それとも、「乗って」いるのだろうか?このふたつの間には、大きな隔たりがある。バイクを積極的に操れているのか、操れていないのか。その明暗を分けているのは、細かいテクニック以前に、あなたの身体だ。まずは身体を作る。これはあらゆるスポーツの基本だ。ライディングにスポーツ要素を求めるのなら、身体作りは不可欠である。スポーツライディングという言葉は、決して飾りではない。れっきとした運動だということを改めて認識し、今年こそ、バイクで走れる身体を作ろう。まずはスタートラインに立とう。
バイクを操っているのはあなたの身体でしかない
バイクは、移動をラクにしてくれる乗り物だ。自分の足で歩くのは面倒、走るのは大変。だがバイクなら、自分の脚力を超え、はるか遠くまで自由に楽しく移動できる。
バイクは楽な乗り物のはずなのに、私はここで「身体を鍛えましょう」と提唱しようとしている。「わざわざそんなことしなくても、バイクはラクに楽しく乗れるんだから、別にいいよ」と遠慮する方もいるだろう。私はそれを否定しない。ある意味では真実だからだ。
しかし、「バイクをもっとうまく操りたい」とか、「意のままに走らせたい」と思うなら、私の言うことに少し耳を傾けてほしい。
バイクは、放っておいたらどうなるだろうか? バイクを操っているのは、いったい何だろうか? 答えは簡単だ。放っておかれたバイクは倒れるし、バイクを操っているのはあなたの身体だ。バイクは人がいないと自立できないし、人がいなくては自動的には走らない。
驚くほどシンプルな答えなのだが、このことを忘れている人は多い。バイクは人との一体感が強いから、あたかもバイクが意思を持って走っているように感じるのかもしれない。
だが、バイクに意思はなく、自動的にも走らない。バイクを操っているのは、あなたの身体だけだ。つまり、バイクをうまく操るためには、まずあなた自身が、あなたの身体をうまく操ることが先決なのだ。自分で自分の身体を意のままに動かせないのに、バイクが意のままになるはずがない。
今回紹介するワークアウトの数々は、必ずしも「走りが激変する」といった即効性のあるものではない。だが、主に体幹にムチを入れるメニューを取り揃えているので、そもそもの「バイクに乗れる身体」の下地作りには最適だ。
具体的にはニーグリップが強化され、本当の意味での下半身ホールドに近付くことができる。また、腹筋や背筋を鍛えることで、旋回中に身体を支えやすくもなるだろう。
上半身を対象としたメニューは少ないが、それでもプッシュアップ(腕立て伏せ)などを採り入れているので、ブレーキング時に身体を支えやすくなり、ハンドルへの入力も高められるはずだ。
紹介するひとつひとつのワークアウトは、「ライディングのどれに効く」とまで細分化できるものではない。
しかし、身体に刺激を与え、体力を増強することで、確実にバイクをコントロールする精度は上がる。
1日1項目だけでもいい。1日10分でも十分だ。意識的に身体を動かすことで、「バイクに乗せられている」から「バイクを操っている」へとシフトアップしてほしい。
ファイヤーハイドラント【中殿筋・ヒップアップ・腰痛防止など】
スライディングランジ【ハムストリングス・大臀筋・腸腰筋・腹筋群など】
スライディングサイドランジ【内転筋・大腿四頭筋・ハムストリングス・臀筋群など】
Point!
弱:運動強度・弱め
強:運動強度・強め
やってみていただければわかると思うが、こう見て実は全体的にきついメニュー揃い、その中で運動強度が弱めのものもあれば、さらにきついものも。無理のないものを続けることが大事だ。