【ライディングフォームの新セオリー/走れるフォームのポイント②】Part02:下半身でホールドする
PHOTO/S.MAYUMI, H.ORIHARA, T.FUCHIMOTO, SUZUKI, Red Bull TEXT/G.TAKAHASHI
ハンドル操作のために下半身でタメを作る
下半身ホールドは、「上半身をリラックスさせるため」と言われることが多い。しかし私が提唱するスポーツライディングでは、むしろ逆だ。
私にとっての下半身ホールドは、ハンドル操作にあたって瞬間的に大きな力を発揮するために、下半身にタメを作る、という意味合いである。つまり、上半身が強大な力を放つために、下半身にも力を入れる、という二段構えの考え方だ。
野球やゴルフでは、まず下半身を回転させてタメを作り、力を蓄える。そしてバットやクラブでのインパクトの瞬間に、下半身に蓄えておいた力を一気に解放させる。バイクも同じイメージを持ってほしい。
スポーツライディングフォーム論において下半身について言及する時、多くの場合は「どのようにヒザを開くか」に終始する。見た目に分かりやすい「型」だからだ。
しかしヒザ以前の問題として、まずしっかり下半身ホールドできているか、ホールドによる力をハンドル操作に生かせているかを見直したい。
フワッと乗っているように見えるライダーのほとんどは、下半身ホールド不足だ。タンクを挟んだ時、足がプルプルと震えてしまうぐらいの強さから始めてほしい。
それがあなたの100の力だとしても、それはMotoGPライダーの0にも満たないことを想像しながら。
手が入らないほどの強さで、タンクをバチッと挟むのが基本
「ニーグリップしてください」と言っても、たいてい力不足だ。タンクを凹ませるぐらいの強さで、隙間なくバチッと挟み込んでほしい。
タンクと内モモの間に手が差し込めるようでは不十分だ。
使えるモノはすべて使ってバイクと体の接点を増やす
下半身ホールドこそ、「型」は人それぞれ。足の長さや股関節の硬さにはかなり差があるからだ。外足全体でホールドできなくても、足のどこかがタンク上部の張りに引っかかっていればOK
【シートの角】
レースシーンで見られる「両足外し」もホールドがあってこそ
ブレーキングでイン側の足を外す光景はお馴染みが、最近ではあえて両足をステップから離すことも。
制動Gを最大限に生かすためだが、外足ホールド自体は内モモでこなしている。
そうは言ってもコレはNG
この写真と上の写真を見比べると、レーシングスーツ内モモのジャージ部分の色でニーグリップの緩さが分かる。ほんのわずかな違いのように見えるが、これが大きな走りの差を生む要因だ。