【しっかり止めて、しっかり曲がる/ブレーキレバーは握らず触るPart:03】
ブレーキを引きずったまま、コーナーに進入する「トレイルブレーキ」は、スポーツライディングの必須テクニックだ。多くのメリットを持つ技だが、正しい知識と的確な練習法を知らなければ、ただ怖い思いをするだけになる。なんとなくブレーキを引きずるのではなく、その意味を確実に理解したい。
PHOTO/S.MAYUMI, Red Bull, Ducati, Yamaha, Honda
TEXT/G.TAKAHASHI
取材協力/本田技研工業 0120-086-819
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ソフトタッチでも十分に減速できる程度のスピードで
実際にトレイルブレーキを行う際に重要なのは、フロントブレーキレバーへのソフトタッチだ。
なお、詳しくは後述するが、ここから述べる「ブレーキ」とは基本的にフロントブレーキのことを指し、リアブレーキの操作についてはいったん脇に置く。
トレイルブレーキにおいても、制動初期段階でしっかりとスピードを落とす必要がある。フロントブレーキは非常によく効くため、ソフトに握れば十分だ。
私としては「握る」というより「触れる」と言いたい。
「それでちゃんと減速できるのか?」と不安に思うかもしれないが、最初のうちは逆に考えてほしい。つまり、「ブレーキレバーにそっと触れるだけでも十分に減速できる程度のスピードと、ブレーキをかけ始める適切なタイミング」を見つけることを意識してほしいのだ。
旋回や立ち上がり加速、1周のラップタイムのことはひとまず忘れて、まず「ソフトタッチでの減速」を身に付けることが大切だ。
そして最も重要なのは、トレイルブレーキは「握り足す」ものではないということ。
握ったブレーキレバーをゆっくりと離しながら、同時に旋回に向けた操作を開始する。
トレイルブレーキは、非常に繊細な操作だ。
減速Gで体は前に持っていかれるが、その大きな力に耐えつつ、指先を小さく動かすのは決して簡単ではない。
恐怖を感じないスピードで、反復練習を重ねることが上達への唯一の道である。