ヤマハ XSR900/rizoma カスタム【マシンと調和する造形】
プロダクトデザインとしての美しさと二輪パーツとしての機能性を、妥協せずに追求し続けているのが、イタリアンパーツブランドのrizoma。’23年春に日本初公開されたXSR900のカスタムモデルからは、そんなrizomaが大切にしてきた信念も感じ取ることができる。
PHOTO/S.MAYUMI TEXT/T.TAMIYA
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マシンと調和する造形
リゾマのCEOを務めるファブリツィオ・リゴリオさんは、’23年春に来日したとき、カスタムパーツをデザインするときの基本的な心得について、「まずはクリーンあるいはピュアであること。そして、対象となるモーターサイクルのコンセプトやオリジナルデザインをリスペクトしながら、それらをより高めるパーツをデザインしようと心がけています」と話していた。
今回紹介するヤマハ・XSR900のカスタムモデルは、そんなリゾマの精神を色濃く感じられる1台だ。
東京モーターサイクルショー2023に向けて、リゾマの日本総輸入代理店を務める56デザインが製作したこのマシンは、日本では’22年6月に販売が開始された現行型XSR900がベース。先にイタリア本国で発表されたカスタム仕様の内容を、ほぼ踏襲しつつ仕上げられている。
ショーで現車が初公開された段階では、いくつかの車種専用設計パーツが「市販予定」あるいは「製品化をこれから検討」という状態だったが、結果的にはすべてのアイテムがリリースされることが決まった。その中でもまず注目したいのが、リゾマとしては初めての市販パーツカテゴリーとなる〝シート〞だ。
純正のシートも、前後一体型でありながら’80年代のシングルシートのような段差が設けられたデザインだが、リゾマ製はよりシャープかつコンパクト。フォックスライセンスプレートサポートキットとの組み合わせにより、テールまわりに洗練された雰囲気をもたらす。
また、同じく車種専用設計のラジエターサイドフラップは、リゾマならではの超小型ウインカーをその内側に配するという秀逸な組み合わせもあり、ショー会場で注目を集めたアイテムのひとつ。そのドレスアップ効果は極めて高い。
同じくアルミ合金素材の切削加工により、質感とデザイン性が高められたヘッドライトフェアリングも、現行XSR900オーナーならぜひ導入を検討したいアイテム。スタイリングイメージに間違いなく大きな変化をもたらす、効果的なイタリアンスパイスとして機能する。
加えて、ノーマルよりも低く遠めにセットされたハンドルバーや、操作性に優れるレバー&ステップなど、数々の汎用アイテムがXSR900のデザイン性とスポーツ性をより高めている。
そして車両全体としては、’80年代のレーサーをモチーフとしたノーマルデザインを尊重しつつ、伝統的なカフェレーサーテイストも盛り込んだオリジナリティが感じられるルックスに仕上げてあるところが、いかにもリゾマらしい。
ちなみに、この車両に使われているカスタムパーツはすべて市販されているので、車体色を除けば簡単に同じ仕様を製作可能。日伊融合の美しさを持つXSR900は、じつは誰でも手に入れることができる。