【ミシュラン パワーGP2】見えない技術がもたらす大いなる進化
ミシュランの人気スポーツタイヤ、POWERシリーズの新製品、POWER GP2。公道での安心感とサーキットでのパフォーマンスを高い次元で両立させた意欲作だ。ハイグリップながら、扱いやすさや幅広い状況への対応力を備えるPOWER GP2に、原田哲也さんも「ミシュランの高い技術力があってこそ」と笑顔を見せた。
PHOTO/Michelin TEXT/G.TAKAHASHI, RIDERS CLUB
取材協力/日本ミシュランタイヤ TEL0276-25-4411
https://www.michelin.co.jp/motorbike/home-motorbike
絶大な安心感があるから楽しくなる。攻めたくなる
気温7度。初冬の北関東の朝は、とても寒かった。テストコースの路面温度も、当然のことながら低い。そんな中、新品タイヤで走り出すのは、実はかなり怖いことだった。
まっさらのミシュラン・POWER GP2を履いて、慎重にスタートした。が……心配はまったく無用だった。ハンドリングコースを走り出してわずか2周で、早くもヒザを擦っていたのだ。
僕はライダーの中でもかなり慎重な方だ。無理や無茶はしない。それは現役時代にさんざん痛い思いをしてきたからだ。無理や無茶をして転んでも、いいことはひとつもない。
だから無理にペースを上げるつもりはまったくなかった。しかし、POWER GP2のウォームアップ性能が想像以上に高く、すぐに安心感とグリップ感が得られた。
無理や無茶はしないが、安心できれば楽しくなる。自然とペースが上がり、気が付けばヒザを擦るぐらい車体を寝かせていた。
慎重派の僕が早々にペースアップできたのは、優れたウォームアップ性能の恩恵ばかりではない。パフォーマンス自体が、前作POWER GPよりもかなり向上していた。フルバンク付近…つまりタイヤのエッジ部分の接地感とグリップレベルが高まっていて、より安心できたのだ。また、前作POWER GPでは「最後のひと寝かし」の部分で、フロントタイヤのわずかな切れ込み感が気になっていた。……と言っても、人より多少はセンサーが敏感な僕がごくわずかに感じる程度の、本当にちょっとしたものだ。
だが新作POWER GP2では、それすら解消されていた。ハンドリングは、ハイグリップ系のタイヤとは思えないほど自然で違和感がない。
さらに、もともとミシュランの強みであるリアタイヤのグリップが増していた。スロットルを開けた時の蹴り出し感が強まり、加速のフィーリングが非常に気持ちいい。
フロントタイヤ、リアタイヤともにしっかりと進化が感じられて、改めてミシュランの技術力の高さに驚かされた。
というのは、さきほどPOWER GPのわずかな切れ込みを指摘したが、それは本当に些細なもので、全体的な完成度は十分に高かったからだ。
2年近くにわたってPOWER GPを履いてきたが、正直なところ不満はほぼなかった。だからいくらPOWER GP2が新作とは言え、POWER GPを上回るのはかなり難しいことだと思っていたのだ。
試しにホイールにセットされていていないPOWER GP2を手で押してみたが、ケースの剛性感が上がっていることが確認できた。にも関わらず、乗り心地までもが向上している。POWER GP以上に、より万人受けする特性を備えたと言っていい。
目には見えない部分にも多くの技術が投入されたからこそ、POWER GP2は大幅な進化を果たしたのだろう。それが車体を寝かせた時の安心感を高め、だから慎重派の僕でさえ新品タイヤの2周目に楽しくヒザを擦れたのだ。
……と言いつつ、実は目に見える部分でもPOWER GP2は進化している。サイプ(溝)のデザインや配置が変更されて、よりレーシングライクなルックスになった。ショルダーのスリック部分も増えていて、かなりカッコいい。
目に見えない部分から目に見える部分まで、すべてにわたって進化している。「2」へのアップグレードは、数字以上の価値がある。
(原田哲也)
FRONT | REAR |
120/70ZR17 | 160/60ZR17 |
180/55ZR17 | |
190/50ZR17 | |
190/55ZR17 | |
200/55ZR17 |