伸び側減衰力の強弱は誰でも体感できる! 難しくないサスペンション入門④
自他共に認めるライテク初心者である編集・藤田でも本当に減衰力の違いを感じることができるのか? 伸び側減衰力だけをイジってワインディングを走ってみた!
違いの分からない男、編集・藤田が体験!伸び側減衰力の「硬い・柔らかい」で走りはどう変わるのか?
自分の愛車で、サスセッティングには何度も挑戦した。もちろん「チョット良くなったな」という実感が得られることもあったけど、 「このセッティングこそが自分にベスト!」と言えるまでには至らなかった。その時は「僕にはセッティングの違いが分からないかも……」と、結構落ち込んだものである。
そんな〝違いの分からない男?が今回、モンスターで伸び側減衰力の最強と最弱を乗り比べてみた。はたしてその変化を感じ取ることができるのか? 不安を抱えつつ乗り比べてみると……結果は歴然。単純に「安心感」と「操りやすさ」がまったくの別物で、最弱の方が遙かに楽しく、ライディングが上手になったような錯覚さえ覚えた。
ではなぜ、自分の愛車では感じられなかったのか。それはズバリ、2~3クリックずつしかセッティングを変えず、何も分からないまま伸び側の次に圧縮側……と、イジる箇所を変えてしまったからだった。 まずは伸び側を大きく変えてみる。これが減衰力の強弱によるフィーリングの違いを知る第一歩だったのだ。
モンスターで必要な工具は六角棒レンチだけ
Test : 1 まずは標準セッティングで乗ってみた ほとんどの人が標準設定に大きな不満は感じないモノ
『……まぁ、こんなもんじゃないですかね』
Test : 2 前後の伸び側減衰力を「最弱」にした バイクが軽く感じ、思い通りのラインで曲がれて気持ちいい!
『S字カーブで車体が勝手に立ち上がって鋭く切り返せる』⇒スッと起きて⇒パタッと倒せる⇒『旋回中のグリップ感が分かりやすい』
Test : 3 前後の伸び側減衰力だけ「最強」にした
狙った地点から曲がれずリーンも緩慢な印象に……『特に下りのコーナーは恐怖しかない!』『インに着けず膨らんで怖い……』
Columm 編集・藤田でもできるセッティングのコツ
●どのバイクでも使う工具はこれぐらい
右から六角レンチ(マイナスドライバーの車種もある)で減衰力。スパナでフロントのプリロード。フックレンチはリヤのプリロードを調整(手で回せる車種もある)する
●BMWはメインキーでアジャスターを回せて便利
S1000RRなど、主にスポーツライディングを楽しむ車種に装備。キーの先端がマイナスドラーバーの代わりになる。調整段階も数値で示しているので分かりやすい
●まずは伸び側減衰力だけ調整するのがオススメ
表記がある場合は「REB」や「TEN」と書かれている方。少し前の車種の場合、フロントはフォークトップ、リヤはボトム側に付いている調整が伸び側であることが多い
●大きく振った方が変化が分かりやすい 『最強⇔最弱』
少しずつ変えるよりも大きく変えた方が違いは分かりやすく、好みの特性も把握しやすい。試走する場所もひとつのコーナーだけでなく、いろんなシーンで試してみよう
●ノーマルサスなら最強や最弱にしても危なくない ―調整幅の限界値ではない―
最強や最弱が、そのサスペンションが備えている調整幅の限界値ではない。どちらにしても安全性が破綻しないマージンが取られているので、怖れることなく一杯まで回そう
●一度に調整する箇所は1つにしないと分かりにくい
伸び側と圧縮側を同時にイジってしまうと、どの部分が乗り味に影響しているのか分からなくなってしまう。プリロードも含めて調整は1カ所ずつにすること。最初は伸び側を試すだけで、十分その違いは分かるはずだ
●結局は「怖くいない方」に合わせていく作業なのだ
多くの人は何を最終目標に調整すれば良いのか分からないだろう。しかしそこは難しく考えず、2パターン試した結果「怖くない方」を探そう。この感覚は体調にも左右されるので、1回だけでなく何度も繰り返して自分の傾向も知っておこう。
例えばこんな感じ▶︎『最弱と最強を試す』⇒『最弱の方が怖くないので標準と最弱の中間を試す』⇒『まだ最弱の方が怖くないなら現状と最弱の中間を試す』⇒『この作業を繰り返す』